たとえ自分のホンが選ばれなくても、せめて後輩のもダメであってほしい。
『今回は残念ながら、両名いずれの脚本も次回公演で上演できるレベルに達していませんでした』
 そう言われたのなら、まだマシだ。
 僕は中学のとき、県の文芸コンクール小説部門で、ほんとのほんとにまぐれで賞なんかをとってしまった。
 他に取り柄を見いだせないコウ少年は、なにを勘違いしたのかそれ以来、物語を書くことだけに誇りをもって生きてきて、趣味で小説を書きつつ高校の部活動は演劇部に決めたのだ。
 自分の思い描く世界を今度は生身の人間に演じさせたい。
 そんな願望からだったのだろう。
 それなのに――過去二回の応募作は、いずれもコンペに敗れている。
 まあ、あえて言わせてもらえるのなら、いずれも相手が上級生で、採用経験豊富な常連たちだったから、あの敗戦はしかたない。
 これまではそう自分を慰めることができた。