――ケセラセラ、ケセラセラ。
 ここに来る前に、『緊張しなくなることで有名なおまじない』を何度も唱えてきたというのに……。
 めちゃくちゃ緊張しまくってる!
 なぜって、そりゃそうだ。二作のうちの一作は僕が書いた脚本で、もう一作は初めて応募してきた一年生のなんだから。
 よりによって、僕と後輩の一騎打ち。
 ちなみに僕は、今回が三度目の挑戦だ。入部してからこれまで、ずっと大道具・小道具制作兼照明担当をしてきた僕の、三度目の挑戦。
「三度目の正直になるといいね」
 ほかの二年生部員からはそう励まされたが、常につきまとうのは、
 ――二度あることは、三度ある。
 呪いのようなこの言葉。
「時間です」
 司会である会計兼音楽担当のメガネ女子の合図で、みんなが一斉に顔を上げた。