今朝見た夢の中でのバーベキューは盛り上がっていたが、あの光景が嘘のように(まあ、夢だからね)いまは静まり返っている。
 いまここでは、審査会が行われていた。
 審査員たちが審査しているのは、演劇部の次回公演脚本だ。
 うちの部は代々オリジナル脚本を作るという伝統がある。
 そしてその脚本は部員が手掛ける。
 それはどの部員が書いてもよく、基本的には部内で審査される。審査員は五名。
 もしも複数の応募があればコンペティション――コンペになる。
 で、いまはまさにそのコンペが行われているのだ。
 今回の応募は二作。
 どちらかのホン(僕たちは脚本のことを『ホン』と呼ぶ)が選ばれるか、どちらも選ばれないか。
 どちらも選ばれることはない。
 体育座りをしていた僕は、握っていた拳の中がべったりと汗ばんでいることに気づいた。