「ゆず」
僕の呼びかけに振り返った彼女がほほ笑みを浮かべたまま僕を見た。
ゆずきのことは親愛の情を込めて『ゆず』と呼んでいる。ただしそれは、彼女とふたりきりになったときだけだ。いまだに照れが勝るときもあるけれど、いまは自然に口にできた。
「ん? どうかした?」
彼女は僕が何か言いたげなのを察したのか、川の中、一歩二歩とこちらに歩み寄ってくる。
――すると、
「きゃっ」
着いた足が川底で滑ったのか、短い叫びとともにゆずきが体勢を崩した。
僕は手を伸ばして――
「ゆずっ」
倒れかけた彼女の腕をとった。
「あー、びっくりしたー」
僕の呼びかけに振り返った彼女がほほ笑みを浮かべたまま僕を見た。
ゆずきのことは親愛の情を込めて『ゆず』と呼んでいる。ただしそれは、彼女とふたりきりになったときだけだ。いまだに照れが勝るときもあるけれど、いまは自然に口にできた。
「ん? どうかした?」
彼女は僕が何か言いたげなのを察したのか、川の中、一歩二歩とこちらに歩み寄ってくる。
――すると、
「きゃっ」
着いた足が川底で滑ったのか、短い叫びとともにゆずきが体勢を崩した。
僕は手を伸ばして――
「ゆずっ」
倒れかけた彼女の腕をとった。
「あー、びっくりしたー」
