初恋前夜

 焼きマシュマロ推しでそんなに見つめられても……と少し困ったものの、
「じゃあ食べてみようかな」
と答える。
「わー、やったぁ!」
 彼女が白い歯を見せて飛び跳ねた。
 ただ単に僕にマシュマロを食べさせるというミッションが成し遂げられそうだというだけことでここまで喜んでくれるなんて。
 そういうの、なんかうれしい。
「いつかこの日を思い出したときにね、みんなでいっぱい頑張って作り上げた舞台への達成感と同じくらい、焼きマシュマロのおいしさにも胸が熱くなると思うよ」
 彼女はまた初々しく笑った。
 こんな些細なやりとりにも幸せを感じる。
 やっぱりゆずきじゃなきゃダメだ。
 彼女は僕にとって、理想の女の子。
「それでは、じゃーん!」