入社して 半年も経つと 随分 会社に慣れて 

仕事が 仕事らしくなってきた。


俺も川村も 少しずつ 仕事の成果が出ていた。


陽気で 調子が良い 川村は

営業向きで 期待通りだったけど。


地味な俺が 川村以上の

成果を 上げていたことは

回りには 予想外だったと思う。


俺の 誠実な態度と 早い対応は

案外 取引先に 評価されていた。


新入社員には 珍しく 

俺は 新規契約を 結ぶことができた。


「寺内 凄いなぉ。」

「たまたまだよ。今回は 運が良かったんだ。」

「運も 実力って言うからな。」


川村は 大袈裟に 誉めてくれたけど。

俺への 競争心は 強くなっていたと思う。


「俺 岩瀬さんに 告白しようかな。」

「うん。いいんじゃない…」


仕事で 俺が 一歩先に行ったから。

プライベートで 引き離すつもりなのか。


それとも 俺への 牽制だったのか…


俺は 自分に 自信なんかないのに。


ただ 早苗が 川村の告白を

断ることを 願うだけで。



俺は 川村を 止めなかったけど。

川村は 慎重で すぐには 告白しなかった。