早苗は いつも 穏やかで 可愛くて。


新しい仕事のことを 楽しそうに 話す。

俺が 会社の事を 話すときは

真剣に 相槌を打って 聞いてくれて。


川村は 早苗を よくわからないって 言ったけど。

俺は 早苗に 求められている 自信があった。


それくらい 早苗は いつも明るい笑顔で。

楽しそうに 俺に 寄り添っていた。


抱いてしまったら 一層 離せなくなると

わかっていたけれど。


もう 抑えられなくなっていたし。

今の早苗なら 許してくれるだろう。


俺達が 結ばれたのは 再会してから 半月後。


早苗は 躊躇うことなく 

俺の胸に 飛び込んできた。


あんなに 川村を 拒んでいた早苗だから

俺は 必死で 自分を 抑えていたけど。


金曜の夜 早苗を送った俺は 

「早苗。俺 今夜は帰らない。」

高まる思いが 言葉になって 零れ出る。


頬を染めて 頷く早苗を 玄関の前で 抱きしめる。

「雅也…」

早苗は 俺の胸に 抱かれたまま

バッグから鍵を出し そっとドアを開けた。