船田と 毎日 一緒に 仕事をして。

船田から 尊敬の目を 向けられることは 嬉しかったし。


船田が 俺を 慕ってくるから

俺も 船田に 愛着を感じていた。


時々 船田を 飲みに連れて行くと

船田は 仕事への希望を 熱く語って。

俺にまで 新鮮な気持ちを 思い出させた。


「寺内さん。俺 注文をもらえました。」

船田が 1人で 取引先を 回り始めて。

嬉しそうに 上気した顔で 戻って来た。


「おっ?そうか。すごいな。船田君。」

「はい。寺内さんのおかげです。」

「船田君 頑張っているからね。これからも その調子で。気を抜くなよ。」


船田の成長が 評価されて 俺は 秋に昇進した。


仕事は まあまあ 上手くいっているのに…


私生活は 変わり映えの しないまま。

相変わらず 愚図で 意気地なしの俺。


最近 川村からの電話も 間遠になってきて。

みんな 自分の生活を 確立しているのに。


俺は いつまでも 同じ場所に 立ち止っていた。