偶然 俺と川村は 本社勤務になって

俺達の付き合いは それからも 続いた。


営業課でも 所属の班が 違うから

同じ仕事を するわけでは ないけど。


同期の仲間が 近くにいることは 心強い。


俺と川村は よく一緒に 飲みに行った。


「なあ 寺内。岩瀬さんて 可愛いよな。」

川村が 俺に言ったのは 6月の初め。

総務課には 色々 聞くことが多くて。


その都度 岩瀬さんは 誠実に対応してくれた。

「そうだな。親切だし。」

「俺 岩瀬さんに 告白しようかな。」

「もう?早くないか?」

「そうか?こういうことって スピードが大事だろう。でも まだ 仕事も覚えてないから。やっぱり 早いか。」

「うん。軽いと思われるよ。まあ 川村は 本当に軽いからなぁ。」


川村が 先に言ったから

俺は 言えなくなってしまった。


俺だって 岩瀬さんを いい子だと思ってた。

入社式の日 初めて会った時から。


俺だって 岩瀬さんの姿を 見ただけで

胸が熱くなるほど… 好きだった。