早苗に 会えなくなって 

俺の日常は 色褪せてしまった。


付き合うことは できなくても

会社に行けば 当たり前のように 早苗がいて。

早苗の姿を 見るだけでも

俺は 幸せな気持ちに なっていたのに。


そこに 早苗がいると思うだけで

会社に行くことが 楽しみだった。


日中 営業で 疲れていても

会社に戻って 早苗の姿を見れば 笑顔になれた。


早苗が 川村の彼女だったとしても…


俺の毎日は まるで 海の底にいるようで。

視界が歪み 音もこもったまま。


誰かに 話しかけられても

形式的な言葉を 返すだけで 精一杯だった。


ただ 仕事だけに のめり込んで。

必死で 仕事に打ち込んだ。