初めて 職場以外の早苗を 知って。

俺は やり場のない 早苗への好意を 持て余してしまう。


早苗は あまりお酒が 強くないらしく

少ししか飲んでないのに 顔が 赤くなっていた。


最初は 3人で 他愛ない事を 話しながら。


徐々に 酒が回ってくると

川村の言葉は どんどん 遠慮がなくなる。


「なぁ 寺内。早苗 良い子だろ?でも 身持ちが固いんだ。参ったよ。」

いつもより 早いピッチで飲んでいた 川村は

かなり 酔ってきて 呂律が回らない。


「川村。飲みすぎだろう?そろろろ 帰るか?」

「全然 酔ってないよ。今日は 酒が美味いな。早苗がいて。寺内がいて…」

川村は そう言いながら 隣に座る 早苗を 抱き寄せる。

「ちょっと。洋介…」

俺を 気にしてか 早苗は 川村から 顔を背ける。


「何だよ 早苗。ちょっとくらい いいだろう…」

俯いて 唇を閉ざす 早苗を

川村は 抱き締めて 唇を寄せる。


「早苗。キスしようよ。」

「洋介。飲みすぎよ。」


そっと 川村の腕から 抜け出した早苗は

妙に 切ない瞳で 一瞬 俺を見た。