それからも 川村は 何度か 

早苗と 会っていたようで。


「おい。寺内。やっと早苗と 付き合うことに なったぞ。」

川村が 嬉しそうに 俺に言ったのは

夏休みが 終わった後だった。


「そうか。ヤッタな。川村の熱意が 伝わったな。」


川村は もう ” 早苗 ” と呼んでいる…


俺の思いは 一度も 言葉にできないまま。

封じ込めるしか ないことは わかっているけど。


毎日 浮かれている川村を見て。

俺は そっと ため息をつく。


もし俺が 告白しても

早苗が オッケーしてくれるとは 限らないけど。


先を越されたからって 逃げる俺は

弱虫の 卑怯者だと思いながら…


それでも 早苗への思いは 募るばかりで。


手に入らないって わかって 

一層 気持ちは 強くなっていた。