「軸ですか、難しいなあ。俺は、まだ想像もできません。っていっても、来年には4年なんですが」
「そうだよね。私の場合、ついこの前までやりたいことだけをひたすらにやってたから就活に取り掛かるのが遅くって。自分の力で生きていく為には、プラスアルファが大事なのかもって最近思って、今は、そのプラスアルファを探してる感じ」
「なるほど。就活って、やりたいことじゃダメなんですか?」
「やりたいことが就活に繋がるのが理想だとは思う」
でも今の私は、やりたいことが何なのか分からない。
ただ確かなことは、豆が好きな気持ち、造形ワークショップで子どもたちと接していて笑顔が見れた瞬間の幸福感。
そういった好きな世界も大切にしながら、これからは、もっと色んな人に会って様々なことに挑戦して可能性をひろげていきたい。
「私にとって就活は、やりたいこととかやれることとかを感じていく大切な自分発掘期間なのかも」
「沢田さん、凄いですね。かっこいいなぁ。俺に出来ることあったら何でも言ってください」
私は、何故か穴の奥がツーンとなってきて涙がにじみそうになった。
その感情を覆い隠すかのように、慌てて鞄のチャックを開け、卒論用のアンケートとペンを取り出して三原君に差し出した。
