その仕草につられるように私は空を見上げた。


「沢田さん、あの雲はどんな形に見えますか?」


「うーん。大きなライオンが、口をガバッて開けて吠えてるように見える」


「俺は、大きな綿菓子に見えました。沢田さんが口だと言った部分、あそこは誰かが食べたあとかな」


三原君が見ている形が面白くてつい笑ってしまった。


「やっぱり、見る人によって見え方って違うんだよね」

「面白いですね。俺、夕焼けの空が好きなんです。赤でもないピンクでもない。水色に半分溶けたような薄い茜色、なんかいいんですよね」


三原君は、遠くの空を見ながら呟いた。

それは、今まさに頭上に広がっている空の色で私も見とれてしまった。

それから再び歩いていると、狭い道路を挟んだ向かい側に少し大きな公園をみつけた。


大きな木々が目立っていて、遊具はブランコと滑り台、そして屋根付きの秘密基地のような小さな家だった。

家は、屋根が水色で壁は薄ピンク色で出来ていて、まるでおとぎ話にでてきそうな世界観をもている。


気になって家の中を覗いてみると、椅子とテーブルが置いてあって、大人はかがめば入れる、2人分のスペースだった。