「この学校の七不思議って知ってる?夜になるったらそれを巡ろうと思うんだけど」
「噂でちょっと聞いたことがあるよ。たしか、校庭の像と、音楽室と、大広間の鏡と、あと……」
「なんかハッキリしてないな。ちゃんと覚えてる?」
実を言うと、あまりそう言うオカルト系の話に興味がないのでちゃんとは覚えていなかった。
それを察したユウキが、カバンからぐしゃぐしゃのノートの切れ端を取り出す。
「感謝しろよ?俺はちゃんとまとめてきたんだぜ。ほら」
ノートの切れ端には乱雑な字で七不思議が箇条書きにされていた。
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『七不思議まとめ!!!』
1.校庭の謎の像(動くらしい!)
2.音楽室のピアノ(鳴る!?)
3.理科室のホルマリン漬け(グロい!)
4.大広間のでかい鏡(背後に霊が映る!)
5.トイレ(やっぱ花子さんだろ!)
6.屋上に続く階段(なんか永遠に登るらしい!)
7.被服室(良くわかんねーけどミシンが動き出すとか?)
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なにこれ。
たしかにまとまってるけど、その割には乱雑で少し笑ってしまう。
小学生の頃に流行った怪談絵本に乗ってそうな幼稚さを感じる。
「笑うなよ!これから俺たちそれを回るんだぜ?そんときびびったって遅いんだからな!」
「う、うん。そうだよね……」
いくらユウキのまとめ方が雑とはいえ、ここに書いてあるものを実際に回るのは度胸がいる。
あぁ、こんなことならナツキもいてくれればよかった。
人数は多ければ多いほどいい。
でも、ある意味これはチャンスかもしれない。
ユウキと暗がりで、手とか、繋いじゃったり……。
ダメダメ。そんな不純な気持ち!!
「おい、どうしたんだよ?今さら怖気付いてきたのか?」
「ううん、大丈夫。ユウキと一緒だし……」
「!」
怖いのとは違う、甘いドキドキが自分を襲う。
手で口を抑えてそっぽを向いてしまったユウキに気づかないくらい、
私の心の中は未来の妄想でいっぱいになってた。
お互いドキドキしっぱなしで、
沈黙のまま、夜が来た。
