「ごめん、ごめんね。私あんたのことこんなに殴って、こんなに刺して……すぐ救急車呼ぶから」
ううん、いいんだよ。
痛かったし、嫌だったし、傷だらけだけど
一番怖かったものが、気のせいだったって気づけたから。
ボロボロの体じゃうまく言えないけど、すごくホッとしてるんだ。
だから……
私はようやく動かせそうな体を動かしてどうにか状態を起こすと、ナツキの服の裾をつかんだ。
「なに?どうしたの?アオイ。痛むの?」
自分でやっといて?
…って少し思ったけど、それは今はいいや。
でも今病院に連れてったら、シャーペンとか服に返り血がついてるナツキが犯人って一目瞭然だ。
それはちょっと……内申書に傷がつくんじゃないかな。ナツキは大学進学目指してるのに。
偽善かもしれないけど、ナツキが傷害罪の犯人にならないように、どうにかならないかなって思った。
でも、ナツキにそれは伝わらない。
焦ったナツキは私の制止を振り払って病院に電話をかけてしまう。
「病院からここまでは遠いから、私、応急処置できそうなものを近くのコンビニで買ってくる!いい?ここから動かないでね!」
急にいい奴ぶったナツキは、財布片手にコンビニに駆け出していった。
さっきまで私をタコ殴りにしてた女とは思えない。
この様子だと自白すらしないんじゃないか。自白したとしても、なにかしら言い訳をつけそうだ。
まぁ、別にそれでいいけど。
でもこれでナツキも私に借りができたわけだし、ユウキの事もまぁ、どうにかなりそうな希望が見えたし、いいんじゃないかな。
なんか色々あって、本当に、肝試しの日よりも疲れた。
ホッとしたら傷も傷んできたし、本当に最悪。
でも、不思議と……清々しいような気持ちだった。
今はとりあえず、沈みかける夕日を見ながら、ナツキが戻ってくるのを待つだけだ。
よっこいせ。と、できる限り楽な体制になるように上体を起こす。
「こんにちは、」
それは突然やってきた。
頭上から降ってきたのは、私の声。
私の、私本人の、聞き覚えのある私の声。
「ひっ………」
身体中の痛みの感覚が消える。
代わりに、体が大きく飛び退いた。
私が、私の顔をした何かが笑っている。
あの日と同じ顔。
あの鏡の中の自分と、あの時の存在と
全く同じ、気味の悪い笑顔。
本能がサイレンを鳴らしている。
ーーこいつは危険だ。逃げろ。
逃げろ逃げろ逃げろニゲろ!!
私はボロボロの体を無理やり動かして走り出した。
はやく、はやく!!
ナツキはどこ!?ナツキ、ナツキ助けて!
必死に、オレンジの光に照らされた川沿いを走った。
血が滴る、痛い。
痛い、痛い痛い痛い!
でも、それよりはやく!
逃げろ、走れ、動け!!
「カワイソ。カワイソーなアオイ。ぅくくくく」
ケタケタ笑うな。やめて、やめてよ!
その声は嫌だ、いやだイヤダ嫌だ!!
足がもつれて砂利に倒れる。
それでも諦めずに手を動かした。
なんでもいい、なんでもいいから逃げたい。はやく!
動け、動け、動け!!
でも、左腕が動かない。おかしいな、
左腕を見ると、
シャーペンの芯で滅多刺しにされたせいで、
小さな穴が大きな穴になってて、
肉という肉が溢れて骨まで見えていた。
腐りかけの肉のように、だらんと力なく、私の腕だったものやが垂れ下がっていた。
それを認識した途端、私の腕にありえないほど強い痛みが走った。
「ーーーーーーーーー!!!!!」
悶えた。悶えた悶えた。
もう、なにもわからない。逃げることすら忘れて悶えた。
痛いという概念すら、もはや超えていて。
もはやもはやjm^gmgd〒jd@=gw%gwh'|wdga,^_^%#-----------
「カワイソー、カワイソー」
そんな言葉が聞こえた気がした。
誰の声なのか、声じゃないのかも、もうどうでもいい。
「じゃあ、もういいよね」
いいよ。
何もかも、なにもかもなにもかも。
とりあえずこの痛みが止むのなら。
なんだってする。なんだって。
だからはやく、はやく、
ーーーーーーーーーーーーーー助けて
「ぁは、やったあ」
「こんにちは、"私"」
ううん、いいんだよ。
痛かったし、嫌だったし、傷だらけだけど
一番怖かったものが、気のせいだったって気づけたから。
ボロボロの体じゃうまく言えないけど、すごくホッとしてるんだ。
だから……
私はようやく動かせそうな体を動かしてどうにか状態を起こすと、ナツキの服の裾をつかんだ。
「なに?どうしたの?アオイ。痛むの?」
自分でやっといて?
…って少し思ったけど、それは今はいいや。
でも今病院に連れてったら、シャーペンとか服に返り血がついてるナツキが犯人って一目瞭然だ。
それはちょっと……内申書に傷がつくんじゃないかな。ナツキは大学進学目指してるのに。
偽善かもしれないけど、ナツキが傷害罪の犯人にならないように、どうにかならないかなって思った。
でも、ナツキにそれは伝わらない。
焦ったナツキは私の制止を振り払って病院に電話をかけてしまう。
「病院からここまでは遠いから、私、応急処置できそうなものを近くのコンビニで買ってくる!いい?ここから動かないでね!」
急にいい奴ぶったナツキは、財布片手にコンビニに駆け出していった。
さっきまで私をタコ殴りにしてた女とは思えない。
この様子だと自白すらしないんじゃないか。自白したとしても、なにかしら言い訳をつけそうだ。
まぁ、別にそれでいいけど。
でもこれでナツキも私に借りができたわけだし、ユウキの事もまぁ、どうにかなりそうな希望が見えたし、いいんじゃないかな。
なんか色々あって、本当に、肝試しの日よりも疲れた。
ホッとしたら傷も傷んできたし、本当に最悪。
でも、不思議と……清々しいような気持ちだった。
今はとりあえず、沈みかける夕日を見ながら、ナツキが戻ってくるのを待つだけだ。
よっこいせ。と、できる限り楽な体制になるように上体を起こす。
「こんにちは、」
それは突然やってきた。
頭上から降ってきたのは、私の声。
私の、私本人の、聞き覚えのある私の声。
「ひっ………」
身体中の痛みの感覚が消える。
代わりに、体が大きく飛び退いた。
私が、私の顔をした何かが笑っている。
あの日と同じ顔。
あの鏡の中の自分と、あの時の存在と
全く同じ、気味の悪い笑顔。
本能がサイレンを鳴らしている。
ーーこいつは危険だ。逃げろ。
逃げろ逃げろ逃げろニゲろ!!
私はボロボロの体を無理やり動かして走り出した。
はやく、はやく!!
ナツキはどこ!?ナツキ、ナツキ助けて!
必死に、オレンジの光に照らされた川沿いを走った。
血が滴る、痛い。
痛い、痛い痛い痛い!
でも、それよりはやく!
逃げろ、走れ、動け!!
「カワイソ。カワイソーなアオイ。ぅくくくく」
ケタケタ笑うな。やめて、やめてよ!
その声は嫌だ、いやだイヤダ嫌だ!!
足がもつれて砂利に倒れる。
それでも諦めずに手を動かした。
なんでもいい、なんでもいいから逃げたい。はやく!
動け、動け、動け!!
でも、左腕が動かない。おかしいな、
左腕を見ると、
シャーペンの芯で滅多刺しにされたせいで、
小さな穴が大きな穴になってて、
肉という肉が溢れて骨まで見えていた。
腐りかけの肉のように、だらんと力なく、私の腕だったものやが垂れ下がっていた。
それを認識した途端、私の腕にありえないほど強い痛みが走った。
「ーーーーーーーーー!!!!!」
悶えた。悶えた悶えた。
もう、なにもわからない。逃げることすら忘れて悶えた。
痛いという概念すら、もはや超えていて。
もはやもはやjm^gmgd〒jd@=gw%gwh'|wdga,^_^%#-----------
「カワイソー、カワイソー」
そんな言葉が聞こえた気がした。
誰の声なのか、声じゃないのかも、もうどうでもいい。
「じゃあ、もういいよね」
いいよ。
何もかも、なにもかもなにもかも。
とりあえずこの痛みが止むのなら。
なんだってする。なんだって。
だからはやく、はやく、
ーーーーーーーーーーーーーー助けて
「ぁは、やったあ」
「こんにちは、"私"」
