好きじゃない

繋がれた右手と左手。

私はなんとなくどこか曖昧な関係に居心地の良さを感じていた。

付き合ってるとかじゃなくても、遊びでも、別に私もそんな本気じゃないし。

分かってるよ、って。

お互いそのつもりで、今こうしている。

川沿いから街に向かう。

少し今日は遠回りしたけど、午後をのんびりと過ごせる。

いつも17時からの私たちにしては珍しい時間帯。

同じような高校生が街に溢れてる。
夏の暑さも私たちには関係ない。

「このあとどうする?」

蓮が聞いてきた。

まだ14時。

帰るには惜しい。
なんとなく。

一緒にいたいってわけじゃないけど、家に帰るくらいなら一緒にいたい。

「なんかお茶しようよ」

私の一声で、とりあえずカフェに入ることにした。

入るなり別世界のような涼しさ。

「やっべー生きかえる」
「涼しー」

私たちはそのままレジで注文して、甘くて氷がザクザク入ったカフェオレを受け取る。

席について、なんともなく過ごす。

「あれさ、ブラックジャック全部読んだの?」
「とっくに読んだよ、テスト前も読んでたじゃん」

なんて話をしながら。

こんな感じが今一番楽しい。

私はもしかしたら、蓮との時間を楽しんでいるのかもしれない。

付き合おうが付き合わなかろうが、関係ない。

どこか、蓮を独占できてる気がした。
そしてそれが今嬉しかった。

突然、斜め上から「やっぱ蓮だ」と声がした。
蓮も私も突然の声にすぐ見上げる。

そこには髪が綺麗で、顔も綺麗で、とにかくただただ美人が立っていた。

「ああ、ビックリした」

蓮はそれだけ言う。
その美人は私をサラリと見た。

「彼女?」

蓮と私は瞬間目が合う。

「いや、友達」

即座に蓮が返した。

「なんだ、友達か」

美人は私を見ながら完璧な笑顔を作った。
さらに時計を見て、急ぐような表情に変わる。

「じゃあ、また」
「ああ」

美人は軽く蓮と私に手を振って店内を去って行った。

あっという間の出来事。