案の定、翌朝学校行くと奈穂と若菜は興味津々に私に話を聞いてきた。

「どうだった?どうだった?」

私は首を傾げる。

「いや、何もないかな。」

二人は「えー」と言って自分の椅子に座る。

私も鞄を机に置くと、奈穂の隣の男子の席に座った。

「なんかさ、やっぱり筋肉大事?」

二人は「は?」って顔をする。

「なんだろう、二人でいてもなんか、恋じゃないっていうか」

「んー」と少し言葉に悩んだ後に続けた。

「好きじゃない」

これだ。
この恋に発展しなさそうな感じ。

それは昨日の帰り道の麻木蓮からもなんとなく伝わってきた。
たぶん私にはそういう気を感じないんだ。

「そっか」

奈穂はそれだけ言うと、それ以上追求してこなかった。

若菜は腑に落ちない表情のまま。
つまんない、って感じ。

分かるけど、言いたいのは分かるけど。

「なんか楽だしかっこいいけど、中性的なんだよね。ここに麻木蓮がいても、平気って感じ」

私はそれだけ言って締めた。

でも余計に、それから私と麻木蓮はどんどん仲良くなっていった。

奈穂とも若菜とも自然と打ち解けてて、もちろん私と付き合ってる噂が流れたけど、蓮も私も気にしなかった。

一緒にいるのが当たり前で、気付けば蓮が誰かと付き合っただのそんな噂も聞かなくなっていた。