ラブ♡ディスタンス【完】

「すぐに駆け寄って、
 抱きしめたかった。
 俺がいる、って
 大声で言ってやりたかった。」



志樹君は、少しずつ思いだしながら

悔しそうに表情をゆがめた。



「なのに、できなかった」



自嘲気味に、ふっと息を吐くようにして笑う。




「俺の方がずっと凪のことを好きだ、って。
 凪を世界で一番大切に思ってるのは俺だ、って。
 言ってやりたかった」



『志樹くん...』



「購買のミルクコッペパンが好きで、
 走るの早いクセに球技が苦手で
 外階段の3段目に座るのが好きで。
 そんな凪を泣かせるのなら
 二度と目の前に現れるな、って。
 カズキ先輩に言ってやりたかったのに、
 言えなかった...」



うつむいた志樹君は
片方の手の拳を握りしめていた。