本当はずっと抱えているんだろ、そう言われた刹那、心音はふわりと芽衣に抱き締められる。誰かに優しくされたことが久々で、温もりに触れることが幸せで、色々な感情が押し寄せ、心音の目から涙がこぼれていく。

「ほんっとは、ちゃんと、自分、の気持ち……い、言いたい!芽衣ちゃん、みたいに、つ、強くなりたい!自分を、殺すなんて、もう、嫌だ!」

心音が奥底に隠していたことを話すと、先ほどより抱き締められる力が強くなる。そして、「ちゃんと言えるじゃん」と芽衣に頭を撫でられた。あの時のことが蘇り、心音の口から嗚咽が漏れる。

「弱い自分に目を向けて、受け入れることができれば強くなれる。少しずつでいい。自分の思いを吐き出してほしい。あたしがそばにいるから……」

「うん!うん!」

泣き続ける心音の目に、オレンジの夕焼けが映る。あの日のように美しい夕焼けだ。

気持ちを吐き出せたその日、心音の見えている世界が少し明るくなったような気がした。