「席つけ〜!今日は転校生が来る日だぞ〜!」

担任の先生が教室に入ってきた。途端に心音のそばからいじめっ子は姿を消す。そして何もしていませんという風に友達と話し始めた。

先生が何かを話しているが、心音は聞く気にもなれずにボウッとしていた。先生はいじめられている自分を助けてはくれない。この世界は醜く、残酷だ。美しい空の青さえ、心音にとっては憎かった。

「ご両親の仕事の都合でアメリカに行っていたそうだ。英語をみんな教えてもらえ」

先生のその言葉に心音はハッとする。小学生の時、いじめられていた心音を支えてくれた友達のことを思い出した。彼女も両親の仕事の都合でアメリカに行ったのだ。

「それじゃあ入ってくれ」

先生がそう言うと、教室のドアが開いてショートカットの背の高い女子生徒が入ってくる。クールビューティーという言葉が似合うその容姿に、クラスメートたちは釘付けになっていた。

「芽衣ちゃん……?」