｢後、念の為明日まで入院だそうよ。｣
｢明日まで…｣
｢早く帰りたいだろうけど、少し我慢しなさい｣
早く帰りたい？
何言ってんの…今となればあの家には
帰りたいなんて一生思わない。
｢莉沙ちゃん早く元気になって帰ろうな｣
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ
｢もう帰ったら｣
｢そうね、辰樹さん帰りましょうか｣
｢けど、やっと目が覚めたんだ。
もう少し話さなくても平気？｣
｢莉沙がそう言ってるからね、平気｣
男の眉は八の字になって、いかにも寂しそうな
顔をするけど私はさっきの顔見逃していない。
あの、不気味なほどニヤッとした口元。
仕方なくという感じに男とお母さんは
病室を出て家に帰った。
