「あら?ジュリアじゃない」

背後から聞こえた言葉に、ジュリアは肩を震わせる。その声は一見すると友達を見つけて嬉しそうに聞こえるかもしれない。しかし、ジュリアは氷のような冷たさを感じていた。

「メアリ……」

ジュリアが振り向くと、重そうな買い物袋を持ったメアリが立っている。その顔は笑っているが、ジュリアの背中に寒気が走った。

「今日はみんなでお買い物?」

「ええ、そんなところ。……じゃあまた学校で!」

メアリの質問に早口で答え、ジュリアはみんなに「早く行きましょ!」と急かす。一刻も早くメアリから離れたかった。

「ジュリア、気にしなくていいのよ?私たちのことなんて……」

「そうそう!メアリはあなたの親友でしょ?」

友達はそう言うが、「いいの」とジュリアは微笑む。そしてメアリの姿が見えなくなったことにホッとしてしまった。

ジュリアは高校生になってすぐ、この町に引っ越してきた。そんなジュリアに声を初めてかけてくれたのがメアリで、二人は少しずつ話すようになっていく。しかし、メアリと関わっていくたびにジュリアの胸が騒つくのだ。