「ほら、これ見て笑おうぜ!そしたら暗い気持ちだって吹き飛ぶだろ?」

遊星はYouTubeを開き、隆也に動画を見せる。それは最近人気急上昇中の若手芸人の漫才だった。

『そしたらおかんがね、急に「ふざけんな!!」って言うて相手に殴りかかったんですよ。もう笑えますわ。アッハッハ!』

『いや、お前それ笑いごとちゃうぞ!!』

漫才を披露する二人に笑い声がたくさん向けられる。遊星もお腹を抱えて笑ってしまうのだが、隆也は顔色を何一つ変えない。

「どうして僕に構うの?根暗な死にたがりに……」

そう言う隆也の頬を遊星はつまむ。隆也は驚いた顔をしたものの、何も言わない。遊星はニコリと笑って言った。

「俺、周りにいる人に悲しい顔とかしてほしくないんだ。人間は笑っていた方がずっといい」

と言うわけで、今からラーメン食いに行こう!と遊星は隆也の手を引っ張る。しかし、隆也は「昨日の夕飯もラーメンだったんで」とその手を振り解いた。