遊星は明るく、みんなでワイワイゲームや遊びを楽しみたいタイプだが、隆也は内気で学校をよく休みがちだ。そんな二人が話すようになったのは、遊星が隆也の自殺を止めたからだろう。

「屋上にいるとさ、あの時のこと思い出すよ。隆也がここから飛び降りようとして俺が止めたの」

「止めたって……。「今日、あの有名ボカロPが新曲あげるらしいぜ!一緒に聴こう!」って言っただけじゃん。僕、ボカロあんまり聴かないし」

「そうだっけ?大体隆也みたいなタイプってノリノリのロックとかよりボカロってイメージなんだけど」

「そういう決め付けはよくない、と思う」

夏の空はどこか眩しい。ジリジリと太陽が照りつけ、耐えられなくなって遊星は日陰へと向かう。しかし、隆也は動こうとしない。

「そんなところにいたら熱中症になるぞ〜!!」

遊星がそう言うと、「熱中症になったら死ねるじゃん」と隆也は呟く。遊星は海外スターの演技のような大げさに肩をすくめ、スマホの電源を入れた。