「ごめん、先に帰っててくれ」

凉に真剣な目で言われ、小百合の中に嫌な予感が生まれる。しかし、それを悟られないように「何で?」とわざとらしく首を傾げた。

「今日、甲田さんに告白してみようと思う!俺じゃダメかもしれないけど、ちゃんと伝えておきたい!」

それだけ言うと、凉は教室を出て行こうとしている英玲奈に声をかける。英玲奈は驚きながらも真っ赤な顔で頷いていて、小百合は泣き出しそうになってしまった。

二人はどこか緊張しながら教室を出て行く。その後ろ姿を見ているだけでも辛く、小百合はその場から逃げるように走り出した。



その日の夜、凉が幸せそうに笑いながら小百合の家にやって来た。告白が成功したと凉は喜び、夕食まで食べて帰っていく。最初から最後まで、凉は笑顔だった。

「……もう、この想いは捨てなきゃいけないんだ……」

自分の部屋に入った後、小百合はその場に座り込んで泣いた。想い続けていた期間が長すぎたせいで、涙は止まってくれない。

「好きだったよ、凉のこと……!!」

言えない言葉を口にし、小百合はただ泣き続けた。