凉のことなら、小百合は小さい頃からずっと一緒にいるので何でも知っている。誕生日や血液型はもちろん、ゲームをした時によく使うキャラクターや好きな漫画、苦手なことも全部。

ずっと一緒にいる凉は、必ず自分を選んでくれると小百合は信じて疑わなかった。でも、運命は違ったのだ。

凉は英玲奈に可愛らしいマカロンを渡していた。誰もいない放課後の教室で、小百合は凉がマカロンを渡すところを偶然目撃する。それは、あまりにも悲しすぎる綺麗な恋の始まりだった。

「……これ、この前のお礼!よかったら受け取ってくれないかな?」

「わざわざありがとう。マカロン、大好きだから嬉しい。……一緒に食べよう?」

凉と英玲奈の顔は赤く染まっていて、小百合は泣きながらその場を離れたのだった。



凉は英玲奈が好きで、小百合は凉が好き。そんな苦しい関係がずっと続いている。夏休みが終わって、今は九月。でもまだ暑くて、蝉も鳴いている。

「じゃあ、今から自由に班を作ってくれ」