英玲奈は明るくクラスでいい意味で目立つ小百合や凉とは違い、大人しくていつも本を読んでいる女の子だ。

美人と男子や女子から噂されるものの、高嶺の花だと言って誰も近づかない。だから、高校二年生になって小百合は英玲奈と同じクラスになっても何も思わなかった。

しかし、凉の様子がおかしくなったのは凉が英玲奈と同じ図書委員になってしばらくしてからだった。

「なあ、女の子ってさどんな甘いものが好きなの?」

一緒に帰っている時に不意に訊かれ、小百合は「えっ?」と首を傾げる。凉の顔は真っ赤だった。

「その……今日、甲田さんに委員会で色々助けてもらってさ、お礼したいなって……。女子って甘いもの好きって聞いたことあるけど何が好きとかわかんねぇし。でもお前は一応女だからさ」

「何それ、ひどすぎ!あたしだって女の子です〜!!」

顔を真っ赤にしている凉を見て、小百合は傷付いていたがわざと明るく振る舞った。そして、自分の想いが届かないと教えられたのだ。