この日のためにクローゼットから全部引っ張りだしてきて

鏡とにらめっこしながら決めたんだ。


「行こっか」


手を差し出されたので、あたしも手を出すと

指を絡ませギュッと握り締められた。

不意に、カラオケボックスから飛び出した時のことを思い出す。


「あの時も、和泉くんあたしの手をこうやって握ったよね」


「あの時って?」


「んー?カラオケ行った時」


「あぁ。あの時はどうやって繋ぎ止めようか必死だったからあんまり覚えてないや」


そう言って笑う。