その少女が店を訪ねてきたのはある年の9月。


街のあちこちでは夏が終わったことによる喪失感が漂い、つい最近まで青々としていたはずの葉っぱが少しずつ赤みを帯びる準備を進めるものですから、誰もがアンニュイなムードに飲まれています。


少女は誰もいないカウンターにちょこんと座ると、アイスティをオーダーしました。


よっぽど喉が渇いていたのでしょう。


少女はストレートのまま、一気に半分ほどを飲み干しました。


私はその仕草を見つめ、彼女の言葉を待ちます。


「きっと私に相談したいことがあってここへ来たのだろう」と感じたからです。


そうでなければ、わざわざカウンターなんかに座りませんから。


娘がネットオークションで安く仕入れた鳩時計は3時をさしています。


この時間、お店はガラガラでテーブル席もすいていました。


それでも彼女がカウンターを選んだということは、目の前の私に聞いてほしい話があるからに他なりません。