「1000年近く前のことです。当時、ボクと彼女は恋仲でした。ところが、交際は許されなかった。理由は身分が違いすぎたからです」


そこまでを話すと、彼は私に視線を向けました。


「本当にボクの話、信じてくれるんですよね?」


私は微笑んで頷き、続きを促します。


「だから、ボクたちは恋を成就させることをあきらめたんです。現世では」


「その代わりに約束したんだね。いつか生まれ変わったら一緒になろうと」


「はい。月のきれいな晩でした。誰の目にも触れられないよう細心の注意を払って、この川のほとりで誓ったのです」


「キミはその時が来るのをじっと待っていた。待った甲斐あって、転校した先で彼女を見つけた」


「でも、違うみたいですね」


「やっぱり気づいてたんだ」