「美月おはよ!」

教室に入るとクラスメイトが話しかけてくれる。

「マスク暑くない?笑」

まぁ普通は、外すよね。

「暑いんだけど、夏も花粉あるんだよね…笑」

嘘をつく。

一年中花粉あるんだ、といえば大体納得してくれる。

私、本当は花粉病なんて持ってないんだけど…

「そうなんだ、つらいね〜」

「そうだよ〜」

私はそこそこクラスの中でも話してる方だと思う

暗いわけでもないし、

話す人に困ったことはない…んだけど、

それは1人を除いて。

「美月ちゃ〜ん、またマスクつけてるの?
外そうよ♪」

馴れ馴れしく私の名前を呼び、

隙を見てマスクを外そうとするこのチャラ男は、

吉岡 晶くん。

私の苦手な人。

「やめてください」

「ちえ、素顔見えると思ったのに〜」

このチャラ男は、女子に少し微笑むだけでみんな好きになると思っていて、

授業中は寝、休み時間には騒ぐ

そして、私にちょっかいをかけてくる大バカだ。

真面目な私からしたら、1番苦手なタイプ。

しかも、このチャラ男は運の悪いことに私の隣なのだ。

「はぁ…」

「美月大丈夫?」

大丈夫じゃない、と言いたいけど

「大丈夫、大丈夫。
もうチャイムなるんじゃない?」

「あ、本当だ。じゃーね」

「あとでね〜」