珍しく委員会の仕事が早く終わったので帰る支度を初めていた。
外は茜色に燃えていて窓から吹く風はとても気持ちが良いものだ。
グラウンドを覗くと部活をする人達が切磋琢磨している姿が見える。
そういえば彼もいま部活してるんだよね。
少し覗いてから帰ろうかなと思い体育館へ足を運ぶ。
体育館に着くとそこには彼がバスケでちょうど休憩している最中だった。
「先輩。これ、良かったら使ってください」
彼の隣には背の小さな可愛い顔をした女の子が居てタオルを渡していた。
「お、ありがとう。いつも助かってるよ」
彼も楽しそうに笑顔を浮かべていてとても声をかけられる雰囲気ではなかった。
「すごく楽しそう」
呟いても聞こえるはずのない言葉。
彼女はきっとマネージャーなんだろうな。
色んな人に話しかけてはタオルを渡したりドリンクを作ったりと忙しそうだった。
私もマネージャーとかすればもっと彼の傍に居られたんだろうか。
今からあの空気に入れる自信がないから出来ないけど。
「優実?来てくれてたのか?」
声の先に顔を向けると彼が目の前に現れた。
「うん、声かけたかったんだけど話してたし帰ろうと思ってて」
「なんだ。そろそろ切り上げるから一緒に帰らないか?」
一緒に帰りたいけど今日は彼と一緒にいるとモヤモヤするし1人で帰りたい。
「ごめん、今日は一人で帰るね」
「そっか、1人なんだから気をつけて帰れよ」
私は体育館を後にしてからそういえば前も同じ事を言われて断ったんだっけ。
それを思い出して最近素っ気ないなって思われているかなって不安になった。
六月の風が涼しいはずだったのに少し肌寒く感じた。
