溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

「あ、この方なら知ってます。フランスどころか世界屈指のショコラティエですよね」
「おー、さすが知ってるんだな。俺は名前も知らなかったんだ。それ、諒太の奥さんが用意してくれたんだけど、やっぱり女子はチョコレートには詳しいんだな」
「は……? 奥さんって、あの、社長の奥様ですか?」

社長である白石諒太の妻彩実は、実家が国内屈指の有名ハウスメーカー『如月ハウス』を経営しているお嬢様で、彼女自身も如月ハウスで今も精力的に働いている。

「彩実さんにはフランスの血が流れていて向こうに親戚も多いんだ。それもかなりのビリオネアで有名人。有力な政治家や王族との縁がある。ここに書いてあるショコラティエと彩実さんも知り合いだそうだ」
「そうなんですか……すごい方なんですね」

梨乃は手にした資料をまじまじと見た。そこに写真付きで紹介されているのは知る人ぞ知る有名ショコラティエだ。
彼が作る美しいチョコレート菓子は、口にできるだけで奇跡だと言われているほどの希少価値を持っている。

「でも、この方がどうかされたんですか?」