溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

「俺にも替え玉と煮卵」
「はいはい」

侑斗の言葉をあらかじめ予想していたのか、中村はすぐに替え玉と煮卵を用意した。
「じゃ、ゆっくり食べてくれ」

中村はそう言って仕事に戻った。

「その煮卵もうまいぞ。ここに来たらこれを食べずには帰られない」

まるで自分の功績のようにそう言って、侑斗は煮卵をれんげですくった。

「ほら、梨乃も早く食べろ。スープに合うし絶品の半熟加減。最高だぞ」
「あ、はい」

侑斗の視線に促され、梨乃も煮卵を口にした。
その途端、口の中にじわりと旨味が広がった。
言葉を失い侑斗を見ると、梨乃の反応に満足したように笑っていた。

ラーメンを食べ終えた梨乃と侑斗は、駅までの道のりを並んで歩いていた。
大きな家が建ち並ぶ住宅街には街灯も多く、22時を過ぎてもかなり明るい。
10月に入り夜は少し肌寒さを感じるがラーメンで温まった体にはちょうどよく、ビールのおかげでほろ酔い気分。
梨乃はきょろきょろと周囲に気を配りながら、侑斗から遅れないよう歩を速めた。

「店長さん、K大でラーメンの研究をしていたなんてびっくりです」