引きずられながら梨乃が必死で言い聞かせても、侑斗に立ち止まる気配はない。
それどころか梨乃の腕を掴んでいた手をそのまま腰に回し、ぐっと引き寄せた。
「……ゆ、侑斗さん」
突然抱き寄せられた梨乃は、周囲の目が気になりうつむいた。
視線の端にちらりと見えたのは、梨乃が侑斗の車に乗り込む写真を拡散させた経理部の女性だ。
千紗の言葉どおり侑斗を気に入っているようで、梨乃に鋭い視線を向けている。
「どうした? ああ、彼女か。なにがあっても俺が守るから大丈夫だ、婚約者として堂々としてろ」
「そんなこと言われても……それに婚約者っていうのもご両親に対してだけの――」
「誰がそんなこと言った。ここでも梨乃は俺の婚約者だ」
「……は?」
思ってもみなかった言葉に、梨乃の足元がふらついた。
「大丈夫か? 疲れてるならこのまま家に帰ってゆっくりしてもいいぞ。帰りになにか買って食べてもいいし」
「侑斗さん……」
決して小さくない侑斗の声に梨乃は顔をしかめた。
ふたりの様子を遠目から見ていた経理部の女性の耳にも今の侑斗の言葉は届いたはずだ。
それどころか梨乃の腕を掴んでいた手をそのまま腰に回し、ぐっと引き寄せた。
「……ゆ、侑斗さん」
突然抱き寄せられた梨乃は、周囲の目が気になりうつむいた。
視線の端にちらりと見えたのは、梨乃が侑斗の車に乗り込む写真を拡散させた経理部の女性だ。
千紗の言葉どおり侑斗を気に入っているようで、梨乃に鋭い視線を向けている。
「どうした? ああ、彼女か。なにがあっても俺が守るから大丈夫だ、婚約者として堂々としてろ」
「そんなこと言われても……それに婚約者っていうのもご両親に対してだけの――」
「誰がそんなこと言った。ここでも梨乃は俺の婚約者だ」
「……は?」
思ってもみなかった言葉に、梨乃の足元がふらついた。
「大丈夫か? 疲れてるならこのまま家に帰ってゆっくりしてもいいぞ。帰りになにか買って食べてもいいし」
「侑斗さん……」
決して小さくない侑斗の声に梨乃は顔をしかめた。
ふたりの様子を遠目から見ていた経理部の女性の耳にも今の侑斗の言葉は届いたはずだ。

