溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

「お嬢様なんて、誰も望んでない。両親は俺が結婚するかもしれないっていう一点だけで大喜びだ。それに、諒太の秘書から梨乃の仕事ぶりや周囲からの評判を聞いて安心したらしい。絶対逃がすなってすごい勢いで言われたよ」

しれっとこともなげに言う侑斗を、梨乃は呆然と見つめた。

「あの、早く誤解を解いたほうがいいと思いますけど」

逃がすなとまで言われていると聞き、梨乃は座ったまま侑斗との距離を広げた。

「いや、逆に助かった。梨乃と婚約すれば今後いっさい見合いの話が持ち込まれないだろうから仕事に集中できる」
侑斗の潤みがちな瞳の奥がきらりと光る。
ゆったりとした笑みを浮かべた口元とも相まって、色気十分だ。
梨乃は見惚れそうになるのをこらえ、うつむいた。
すると、そのタイミングを図っていたかのように侑斗は再び梨乃に身を寄せてふたりの距離をゼロにした。

「梨乃、ここに婚約者として住んでほしい。まだ非公表だが、どうしてもうちが引き受けたい仕事があるんだ。それに集中したいのもあって、婚約は好都合。もちろん梨乃や翔矢君の生活は完璧にサポートする」

侑斗は梨乃の肩を抱き寄せ、強い声で言い聞かせた。