「あ、いいんです。母はピアノを弾き始めたり歌いだすと止まらなくなるんです。それこそお腹が空いて力尽きるまで。妙なひとですよね」
なにごとにも余力を残さない母の生き方、梨乃は嫌いではない。
周囲から冷ややかに見られることもあるが、それをやり過ごす強さを兼ね備えている母のようになりたいとも思っている。
「妙というよりかわいらしい。それに仕事となるとほかが目に入らなくなる梨乃の性格は、お母さん譲りだな」
侑斗はにやりと笑い、梨乃の顔を覗き込む。
「え……そういえば。そうですね。気づかなかった」
梨乃は目を丸くし、顔を赤らめた。
今まで考えたことも言われたこともなかったが、たしかにそうだ。
「梨乃のお母さん、見た目も梨乃に似てかわいいんだろうな。うちに泊まるなら、そのときに梨乃と結婚すると挨拶するよ」
侑斗はそう言って梨乃の頬を両手で包み込むと、ゆっくりと唇を重ねた。
部屋に響くリップ音を聞きながら、やはり侑斗の口から出るのは〝結婚させてください″ではなく〝結婚する〟なんだとぼんやり考えていた。
その後、梨乃たちはぐつぐつとおいしそうな音を立てる鶏団子鍋を堪能した。
なにごとにも余力を残さない母の生き方、梨乃は嫌いではない。
周囲から冷ややかに見られることもあるが、それをやり過ごす強さを兼ね備えている母のようになりたいとも思っている。
「妙というよりかわいらしい。それに仕事となるとほかが目に入らなくなる梨乃の性格は、お母さん譲りだな」
侑斗はにやりと笑い、梨乃の顔を覗き込む。
「え……そういえば。そうですね。気づかなかった」
梨乃は目を丸くし、顔を赤らめた。
今まで考えたことも言われたこともなかったが、たしかにそうだ。
「梨乃のお母さん、見た目も梨乃に似てかわいいんだろうな。うちに泊まるなら、そのときに梨乃と結婚すると挨拶するよ」
侑斗はそう言って梨乃の頬を両手で包み込むと、ゆっくりと唇を重ねた。
部屋に響くリップ音を聞きながら、やはり侑斗の口から出るのは〝結婚させてください″ではなく〝結婚する〟なんだとぼんやり考えていた。
その後、梨乃たちはぐつぐつとおいしそうな音を立てる鶏団子鍋を堪能した。

