『そうなの。一週間お姫様気分よ。生徒さんたちとも久しぶりに会えるしとっても楽しみでパッキングも終わっちゃった』
「終わっちゃったって……ねえ、いつこっちに来るの? レッスンとか会食で忙しいと思うけど一晩くらい会えるよね……って母さん?」
よっぽど楽しみにしているのか、スマホの向こうからは浮かれた調子でハミングする母の声が聞こえてきた。
「かあさーん。聞こえてる? いつこっちに来るの? ねえ」
スマホに大きな声で呼びかけるが、聞こえてくるのは梨乃も子どもの頃からよく聞いていたメロディだ。
最近侑斗と食事を楽しんだフランス料理店の生演奏でも聴いた、たしか「いざない」というタイトルだったと思い出す。
「母さん、あのー」
田舎の広い平屋で気兼ねすることもない。
スマホからはまるでマイクを通したような声が聴こえてくる。
「あーあ、またか……仕方がない」
梨乃はあきらめ通話を切った。
「いいのか? 気分よさそうな歌声が響いてたけど」
近くで梨乃の様子を見ていた侑斗が、笑いをこらえている。
母とのやりとりは全部筒抜けだったようだ。
「終わっちゃったって……ねえ、いつこっちに来るの? レッスンとか会食で忙しいと思うけど一晩くらい会えるよね……って母さん?」
よっぽど楽しみにしているのか、スマホの向こうからは浮かれた調子でハミングする母の声が聞こえてきた。
「かあさーん。聞こえてる? いつこっちに来るの? ねえ」
スマホに大きな声で呼びかけるが、聞こえてくるのは梨乃も子どもの頃からよく聞いていたメロディだ。
最近侑斗と食事を楽しんだフランス料理店の生演奏でも聴いた、たしか「いざない」というタイトルだったと思い出す。
「母さん、あのー」
田舎の広い平屋で気兼ねすることもない。
スマホからはまるでマイクを通したような声が聴こえてくる。
「あーあ、またか……仕方がない」
梨乃はあきらめ通話を切った。
「いいのか? 気分よさそうな歌声が響いてたけど」
近くで梨乃の様子を見ていた侑斗が、笑いをこらえている。
母とのやりとりは全部筒抜けだったようだ。

