溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

ただでさえ忙しい侑斗を煩わせたくなかったのだが、尾崎の爆弾発言でそれも無理なようだ。

「あの女……政界に興味なんてないと何度言えば納得するんだよ。ばかばかしい」

力の抜けた声でつぶやき、侑斗は天を仰いだ。

「悪かったな」

侑斗は梨乃の肩を抱き、マンションに向かって歩き出した。

「今回の結婚式の件が終われば顔を合わせることもなくなるから」
「結婚式……そうだ、大丈夫でしょうか? 私が侑斗さんと別れなければ白石ホテルに不利な判断をされそうでしたけど」
「問題ない。どのホテルが対抗として挙がっていても、白石ホテル以上の結果を出せるホテルはないからな。余計なことは考えるなよ。俺は梨乃と別れるつもりはない」

侑斗は梨乃の体を強く引き寄せ「わかったな」と梨乃に釘を刺した。

「あ、はい……」

侑斗から離れるつもりはないが、自分のせいで侑斗の仕事が行き詰まるのは申し訳ない。
自分にもなにかできないかと考えてもなにも思いつかず、力不足を痛感する。
マンションのロビーにふたりが入ったとき、一足早く受付に戻っていた尾崎がふたりに気づき頭を下げた。
梨乃も歩みを緩め、頭を下げた。