溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

「もうひとつの候補がどこかもある程度絞ってる。歴史も規模も経験値もうちの方が有利だと思う。だけど、沢渡大臣は村野さんをかなり気に入ってるから気が抜けないんだ。うちが先行できるなにか強味があればいいんだけどな」

侑斗の声は硬く、真剣にそれを探しているようだ。
梨乃も考えてみるが、侑斗が思いつかないのに自分にそれができるとは思えない。
ここでも自分は侑斗の役に立てないと、梨乃は肩を落とした。

「だとしたら、うちで引き受けられるかどうかは村野さんの評価次第ということですか?」

不安気に尋ねた梨乃に、侑斗は渋々頷き口元を歪めた。

「彼女の意見はかなり影響するだろうな」
「……そうですか」

梨乃は資料を読み終え黙り込んだ。
侑斗が眠る間も惜しんで資料を作るほど手に入れたい仕事にも、自分はどう協力すればいいのかわからない。

「どうした。そんなに驚いたか」

いつの間にか侑斗は梨乃の背後に立っていた。

「あ、はい。すごく驚きました。芸能人同士の結婚よりよっぽど注目されそうですね」
「そうだな。招待客も豪華な顔ぶれになるだろうし白石ホテル始まって以来のイベントだな」