溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

「ああ。ここで縁をつないでおいて損はないからな。それに白石家に生まれたという幸運だけで簡単に社長の椅子に座っている苦労知らずとマスコミに書かれた諒太の意地もある」

まるで自分が揶揄されたとばかりに悔しそうに話す侑斗に、梨乃は視線を向けた。

「あ、悪い。白石家に限らず名前が知られていると、思い切ったことをするたび批判的な記事が出るんだ。とくに諒太は若くしてトップに立ったから妬みも多い」
「ですよね……」

諒太に関しては他人に媚びない冷徹御曹司というイメージに30代前半で社長に就任した順調すぎる人生への嫉妬が加わりことあるごとにマスコミで批判的な記事が作られる。
いずれ副社長に就任する予定の侑斗もその例外ではないが、諒太と比べると背負う重荷や責任は雲泥の差だ。
同じ白石家に生まれた御曹司。
それも同い年のふたりだが昔も今も諒太が侑斗の前を歩きなにもかもを引き受けている。
それは地位と名誉、そして世間からの注目と悪意だ。

「社長の諒太を支えるのが俺の役割だ。物心ついたときにはそう叩き込まれていたな」
「そんなに早くから?」

侑斗の言葉に梨乃は目を丸くした。