「初めまして。沢渡外務大臣の秘書の村野静葉です」
梨乃は唐突に差し出された名刺を受け取った。
見れば瀬戸内を地盤に持ちスピーディーな働きぶりで人気が高い外務大臣、沢渡圭造の私設秘書のようだ。
自分と年齢があまり変わらないだろう彼女の堂々とした態度と立場に、梨乃は感心した。
「すみません、わたくし折原と申しますが今手もとに名刺がありませんので、後日でよろしいでしょうか」
「いえ、今後お仕事で直接お話する機会はないと思いますのでそれは結構です。担当の侑斗さん……白石課長とのやりとりだけで十分です」
「……はあ」
笑顔を見せつつも突き放すような村野の声音に、梨乃は口ごもった。
黙り込んだ梨乃に構わず村野は侑斗に顔を向けた。
「今はまだ白石ホテルに分がありますが、今後どうなるかは不透明です。大臣はいずれ長男の恭介さんを政界に送り込むつもりだから地元からの依頼を無下に断らないはずだし」
もったいぶって話す村野を侑斗は表情を変えず見下ろしている。
ふたりの間に緊迫した空気を感じ、梨乃は思わず諒太を見るが、苦笑いを返されただけで要領を得ない。
梨乃は唐突に差し出された名刺を受け取った。
見れば瀬戸内を地盤に持ちスピーディーな働きぶりで人気が高い外務大臣、沢渡圭造の私設秘書のようだ。
自分と年齢があまり変わらないだろう彼女の堂々とした態度と立場に、梨乃は感心した。
「すみません、わたくし折原と申しますが今手もとに名刺がありませんので、後日でよろしいでしょうか」
「いえ、今後お仕事で直接お話する機会はないと思いますのでそれは結構です。担当の侑斗さん……白石課長とのやりとりだけで十分です」
「……はあ」
笑顔を見せつつも突き放すような村野の声音に、梨乃は口ごもった。
黙り込んだ梨乃に構わず村野は侑斗に顔を向けた。
「今はまだ白石ホテルに分がありますが、今後どうなるかは不透明です。大臣はいずれ長男の恭介さんを政界に送り込むつもりだから地元からの依頼を無下に断らないはずだし」
もったいぶって話す村野を侑斗は表情を変えず見下ろしている。
ふたりの間に緊迫した空気を感じ、梨乃は思わず諒太を見るが、苦笑いを返されただけで要領を得ない。

