溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

ベージュのスーツを着た長身の美人だ。
清潔感のあるメイクをほどこし、ハーフアップにした髪は毛先が軽くカールしている。
女性らしさをバランスよく押し出した容姿は目をひき、きっと男性からモテるだろうと梨乃は感じた。

「最近何度もお会いしていたのに、婚約なんて聞いてません」

奥二重のきりりとした目元からは不機嫌な表情の中にも色気を感じ、梨乃は圧倒された。

「それは失礼いたしました。私のプライベートは仕事に関係ありませんので控えておりました」

侑斗はとくに感情を含まない声でそう言うと、表情を消して目の前の女性を見た。

「そう。まあいいわ。せっかくだから侑斗さんにもお伝えてしておこうかしら。白石社長、いいですよね」
「ええ、どうぞ。この後私から侑斗に伝えるつもりでしたから」
「なんのことだ? それにどうして村野さんがここにいらっしゃるんですか」

侑斗はいぶかしげに諒太に問いかけるが、その言葉を引き取るように村野がつかつかと侑斗に歩み寄る。
5センチほどのヒールを履きスラリとした姿は侑斗と並んでも決して見劣りしない。
梨乃は思わず見とれてしまった。