「千紗のことだから言いふらすような真似はしないと思うけど、でも婚約したと知ったら明日にでもあれこれ聞かれて……。どう説明すればいいのかわかりません」
スマホを両手で抱きしめた梨乃は半泣きだ。
「だったら、梨乃は俺の正真正銘の婚約者だと、本当のことを話せばいい」
「正真正銘の、婚約者……?」
「そうだ。もう我慢しないとさっきから何度も言ってるだろ? 偽装婚約なんて梨乃を手に入れるための単なる口実だといい加減理解しろ。白石家のような背負うものが大きすぎて面倒な家に引き込むのはかわいそうだと思って我慢していたが、ずっと梨乃が欲しかった」
侑斗は梨乃を胸に抱き寄せ肩口に顔を埋めた。
そして、拗ねた口ぶりで言葉を続ける。
「好きだから婚約したし、今まで俺が口にした言葉に嘘はない」
「は……はい」
うなじをくすぐる侑斗の吐息に梨乃の体が熱を帯びた。
好きだと何度も告げられ鼓動も速く、千紗は全身から力が抜けていくのを感じた。
「夢……じゃないのよね」
梨乃は力なくそうつぶやき侑斗の体におずおずと手を回した。
スマホを両手で抱きしめた梨乃は半泣きだ。
「だったら、梨乃は俺の正真正銘の婚約者だと、本当のことを話せばいい」
「正真正銘の、婚約者……?」
「そうだ。もう我慢しないとさっきから何度も言ってるだろ? 偽装婚約なんて梨乃を手に入れるための単なる口実だといい加減理解しろ。白石家のような背負うものが大きすぎて面倒な家に引き込むのはかわいそうだと思って我慢していたが、ずっと梨乃が欲しかった」
侑斗は梨乃を胸に抱き寄せ肩口に顔を埋めた。
そして、拗ねた口ぶりで言葉を続ける。
「好きだから婚約したし、今まで俺が口にした言葉に嘘はない」
「は……はい」
うなじをくすぐる侑斗の吐息に梨乃の体が熱を帯びた。
好きだと何度も告げられ鼓動も速く、千紗は全身から力が抜けていくのを感じた。
「夢……じゃないのよね」
梨乃は力なくそうつぶやき侑斗の体におずおずと手を回した。

