溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

「あの、侑斗さんまずいですよ。千紗はホテルの従業員で、同居のことがばれたら……あっ」

思わず侑斗を止めたが、千紗にも聞こえたと気づき梨乃も慌てて起き上がった。

『え、白石侑斗って、は? 侑斗さん? それに婚約者ってなに?』

予想した通り、千紗はいきなり電話に出た侑斗の声に驚いている。

『梨乃、いったいどういうこと? 侑斗さんと婚約って嘘でしょ』
「あ、あ……それはその」

梨乃は婚約には理由があったと思い出し、言い淀んだ。
侑斗の見合い話を阻止するための偽装婚約がきっかけだが、どう答えればいいのだろう。
おまけに今日侑斗から好きだと告げられたのだ、自分の立場をどう理解すればいいのかわからない。
すると、梨乃の頭を侑斗の手がくしゃりと撫でた。

「もしもし、婚約したっていうのは本当だ。今は俺のマンションで一緒に暮らしてるから安心してくれ」
「侑斗さんっ」

梨乃は頭に置かれた侑斗の手を振り払い、ソファの上で向き合った。
けれどそれに構わず侑斗は話し続ける。