一方的にまくしたてる千紗に、梨乃は平静を装いながら答えた。
千紗は梨乃が以前住んでいたマンションの近くに住んでいて、これまでもちょくちょく行き来していた。
事情をなにも話していなかったことを思い出し、梨乃は慌てた。
「ち、千紗、なにかあったの?」
梨乃は焦って起き上がろうとするが、侑斗がそれを許さない。
梨乃を変わらずソファに押しつけ額にキスを落とした。
「んっ。な、なにを……」
驚き目を丸くした梨乃の口から思わず声が漏れる。
『え? なに? 梨乃どうかしたの』
スマホからは千紗の悲鳴に似た声、そして目の前には侑斗の色気に満ちた顔。
梨乃は手にしたスマホを落としそうになる。
『ねえ、もしかしてあまりにも生活が大変で、実家に引っ越したの?』
ひときわ大きな千紗の声が響く。
「ううん、そうじゃないの。そうじゃないんだけどいろいろあって、引っ越したというか」

