白石ホテルを背に、梨乃は引っ張られるようによろよろとついていく。
同居を始めて以来侑斗には驚かされてばかりだが今の言葉はなにより強力だった。
梨乃はあれこれ悩む余裕もなくし、ただ足元を見ながら足を動かした。
「今は単なる従業員じゃない。俺の婚約者だと早く自覚しろ」
侑斗は振り返ると、それまでの軽やかな口調とは違う真面目な声で梨乃に告げた。
「俺がホテルを守っているというなら、これからは梨乃も俺の婚約者として一緒に守っていくんだ。そうだろ?」
「そうだろって……私は見せかけの婚約者なのでそれは違うと……」
本気どうかわからない笑みを浮かべる侑斗に、梨乃は声を詰まらせた。
侑斗に振り回されるのに慣れたつもりでいたが、まだまだ甘かったようだ。
自分のペースで梨乃を囲い込み、我がもの顔で振り回す。
それが侑斗だ。
「本当の婚約者だったら、もちろん侑斗さんと一緒にホテルのために力を尽くすんですけど……私は偽物というか、婚約者の振りをしているだけだから」
歩みを止め、梨乃はため息を吐いた。
その間も侑斗は梨乃の手を離そうとしない。
同居を始めて以来侑斗には驚かされてばかりだが今の言葉はなにより強力だった。
梨乃はあれこれ悩む余裕もなくし、ただ足元を見ながら足を動かした。
「今は単なる従業員じゃない。俺の婚約者だと早く自覚しろ」
侑斗は振り返ると、それまでの軽やかな口調とは違う真面目な声で梨乃に告げた。
「俺がホテルを守っているというなら、これからは梨乃も俺の婚約者として一緒に守っていくんだ。そうだろ?」
「そうだろって……私は見せかけの婚約者なのでそれは違うと……」
本気どうかわからない笑みを浮かべる侑斗に、梨乃は声を詰まらせた。
侑斗に振り回されるのに慣れたつもりでいたが、まだまだ甘かったようだ。
自分のペースで梨乃を囲い込み、我がもの顔で振り回す。
それが侑斗だ。
「本当の婚約者だったら、もちろん侑斗さんと一緒にホテルのために力を尽くすんですけど……私は偽物というか、婚約者の振りをしているだけだから」
歩みを止め、梨乃はため息を吐いた。
その間も侑斗は梨乃の手を離そうとしない。

