溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

背の高いビルが並ぶ中でもその堂々たる外観は見る人の目を引く。
一等地にあるというのにかなり広い敷地面積を持つ白石ホテルは地域の象徴であり、誇りでもある。
そのとき、ホテルをライトアップしていた光がすっと消えた。
そして間を置かず、それまで以上に太くきらびやかな光が何本も夜空に向かって伸びた。
ホテルを取り囲むまっすぐな光の帯は、さながら光の噴水のようで、ただただ美しい。
毎夜21時になると1分間だけ見られるこの光のショーは客室からは光のカーテンに包まれているように見えるとSNSでも話題となっている。

「……すごくきれいですね。それにこれほど迫力があるなんて」

梨乃は遠目からでもその眩しさに圧倒され、その場に立ち尽くした。

「他人事みたいに言うんだな。あれ、梨乃が考えたんだろ?」
「はい。それもご存じなんですね」

宿泊客はもちろん、従業員にも周辺地域のひとにも楽しんでもらえるなにかと考えて思いついたのがこの光の噴水だった。
宿泊客の睡眠の邪魔にならないよう光の角度を綿密に計算して、たった1分間だけの夢のような世界。