今でも半年に一度だが、一週間だけ教室に戻って特別講習も行っている。
その一週間は事前予約制なのだがかなりの人気で、抽選倍率は十倍だ。
「そういえば、母はそろそろこっちで半年に一度のレッスンがあるんです。そのときは音楽教室のご厚意で白石ホテルに一週間泊まれるので母は毎回楽しみにしてるんです」
音楽以外には無頓着で世間知らずの母。
いつも明るく浮世離れしたところもあるが、一緒にいると自然と笑顔になれる素敵な女性だ。
今は離れて暮らしていてなかなか会えないのもあり、梨乃は母がホテルに滞在する一週間を心待ちにしている。
「梨乃のお母さん、うちに泊まるのか?」
それまで梨乃の話を興味深そうに聞いていた侑斗が、ふとつぶやいた。
「はい。私に負けず母は白石ホテルが好きなんですよ」
「そうか……だったらそのとき梨乃のお母さんにご挨拶させてくれ」
「挨拶って……え、わざわざそんなの必要ないです。両親にはなにも言ってないので大丈夫です。翔矢にも口留めしているのでお気遣いなく」
梨乃は侑斗に面倒はかけられないと全力で断った。
その一週間は事前予約制なのだがかなりの人気で、抽選倍率は十倍だ。
「そういえば、母はそろそろこっちで半年に一度のレッスンがあるんです。そのときは音楽教室のご厚意で白石ホテルに一週間泊まれるので母は毎回楽しみにしてるんです」
音楽以外には無頓着で世間知らずの母。
いつも明るく浮世離れしたところもあるが、一緒にいると自然と笑顔になれる素敵な女性だ。
今は離れて暮らしていてなかなか会えないのもあり、梨乃は母がホテルに滞在する一週間を心待ちにしている。
「梨乃のお母さん、うちに泊まるのか?」
それまで梨乃の話を興味深そうに聞いていた侑斗が、ふとつぶやいた。
「はい。私に負けず母は白石ホテルが好きなんですよ」
「そうか……だったらそのとき梨乃のお母さんにご挨拶させてくれ」
「挨拶って……え、わざわざそんなの必要ないです。両親にはなにも言ってないので大丈夫です。翔矢にも口留めしているのでお気遣いなく」
梨乃は侑斗に面倒はかけられないと全力で断った。

